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天風星苦


作:夢希
2-補 出会い
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 えと、解説者です。
取りあえず2章を終えるに当たって帝国軍の説明でもいかが?
いらないという方はこちらから次の章へどうぞ。

 まず正規の部隊は軍隊、治安維持隊、有力貴族等私兵などに分別され、軍隊は全て帝国に所属します。
帝国軍最高位に位置するのはもちろん皇帝ですが、その次は枢密師でしょう。
枢密師の納める枢密院が帝国軍の実質的な運営を担当します。
設立当初は他にも細かな調整や分権のための機関は有ったのですが圧倒的な政治力を誇る歴代枢密師の頑張りによってそれらの諸機関はすでに形骸化されてしま いました。
ところで、これは京において帝国軍を管理する側の事情です。
皇帝や枢密師が軍を率いることもないことは無いのですがその場合は親征といった国家規模の大掛かりなものとなります。
平時に軍を率いて実際の管理に当たる側としての最高峰はやはり将軍でしょう。
帝国には現在八人の将軍が居り、京及び東西南北の安にそれぞれ一人ずつ配置されております。
要するにうち五人は皇帝や大公の居るところの守備に当たるため、実質三人しか前線には配属されていないということになります。
そう考えてもらえればそのうちの一人の居る鎮鋼が戦略的に如何に大事な場所かは分かってもらえるでしょう。
ついでとして、残りの将軍のうち一人は西安管理区西安北部の平蘆、つまりは堅遼との国境付近、残りの一人は北安の更に北、北衛という地に居ります。
これで地理的には北側半分を六人の将軍で、南側は東安、南安二人の将軍のみとなります。
また、軍の編成としては廂(25000人)は十軍を管轄し、軍(2500人)は五営を管轄し、営(500人)は五都を管轄し、都ごとに百人の兵が居りま す。
各指揮官はそれぞれ廂都指揮使、軍都指揮使、営都指揮使、都頭です。
これらの編成は大枠的なものであり、その基地の人数によってそれに見合ったように変えられます。

 例として鎮鋼府を見てみましょう。
鎮鋼には平時三万の兵が居り、それを1廂12軍として管理しています。
内訳は騎兵8軍に歩兵4軍と、歩兵の多い帝国においてはかなり強力な布陣となります。
麾下の砦14も合わせればその数は五万に達します。
他にも京の枢密院より付近にある長城、見張り台などの詰め兵一万三千の管理も任されておりますが彼らはあくまで見張りのための連絡兵。
敵の接近があれば持ち場を放棄して近くの砦に知らせることまでが仕事の訓練などろくに受けていないに等しい、いわば戦闘には使えない兵です。

 指揮体系として鎮鋼府将軍は廂都指揮使も兼任しており、その下に軍都指揮使となります。
軍都指揮使は普通一軍に付き一人割り当てられますから数軍を任されることもあります。
第5,6騎兵軍の2軍を指揮する賈赦軍都指揮使、実は結構偉いんです。
他、それぞれ
第1,2騎馬精鋭軍を受け持つ楊軍都指揮使。
第3騎兵軍を受け持つ苓軍都指揮使。
第4騎兵軍を受け持つ朱軍都指揮使。
第7騎兵軍を受け持つ芭軍都指揮使。
第8騎兵軍を受け持つ鄭軍副都指揮使。
第1歩兵軍を受け持つ韓軍都指揮使。
第2歩兵軍を受け持つ鵬軍都指揮使。
第3歩兵軍を受け持つ宇軍都指揮使。
第4歩兵軍を受け持つ武軍都指揮使。
で構成されます。
第8騎兵軍は将軍の親衛隊であり、将軍自身が指揮するため、普段は鄭軍副都指揮使が率いています。
また、軍副都指揮使は1軍ごとに与えられるため、2つの軍を持つ指揮使の下には2人の軍副都指揮使が居ることになります。
それ以下の営都指揮使、都頭も一営、一都ごとに1人の割合です。
特殊なものとしては第4歩兵軍があり、工兵と後方支援およびその護衛から構成されています。
もちろん各軍にもそれらの担当が居るわけですが第4はそのスペシャリスト集団ですね。
歩兵といっても輸送用馬車とその護衛や工兵ですから装備はばらばらで騎馬兵なんかも居たりします。

 さて、そうなると紅狼君の役目はなんでしょう?
簡単に言うと将軍の補佐です。
将軍の仕事は府の管理、府の任された町の治安維持、第8騎兵軍の管理、近隣の長城や見張り台、砦などの管理、西域への央路の関所2つの管理、そして一番大 事な西域、及び北方からの侵略の阻止など多岐にわたります。
また、鎮鋼府は一つの町ですから別に町の長官が居ることは居るのですが、鎮鋼はその性質上軍に相談しないことには何も実行できない町です。
そういった鎮鋼という町の運営上の決断も必要でしょう。
大抵そういったことには補佐役が既にいるのですが、それら全体を将軍と同じ目で見て助言・補佐、場合によっては代理までをこなす のが紅狼君の役目です。
燕が二百の私兵を貸し与えたのも当然。
副将と言われながらも実際に統率をする兵は一人も居ないんですから。
(もちろん戦争ともなれば数営を任されたり軍師的な役割を与えられたりはするのでしょうが。
これは紅狼君が異例の抜擢をされてしまったために生じた珍事で、燕前副将は将軍と同じように第7騎兵軍軍都指揮使として自分の部隊を持っていました)

紅狼君は将軍というもの自体の補佐です。
正式名称は将軍副官ですが、副将,副将軍という慣用名の方がずっと一般的になっています。
大事な公式の場でもうっかりしているとつい間違えて使ってしまうほどです。

ところで、実際に軍都指揮使である賈と副将の紅狼君、どちらが偉いのでしょう?
実は分かりません。
燕と賈なんか昔はお互いに自分の方が上だと思っていたのかもしれませんね。
言葉:
異国人のはずのリィナが延の帝国民と普通に話していますがこれは言葉が大陸内で統一されているためです。
その癖、互いの名前を発音できないという言語が違うとしか思えない事態も生じています。
ある日突然言葉が統一された結果として各言語の名残が個人名だけに残ったと考えてください。
これは人の認識外で行われ、法術の発生とも深く関わりますがリィナですらその理由を完全には知らないことですのでこの話内で説明される可能性は極めて低い です。
この天風星苦の後に予定されている連合編(主人公も時代も変わります。早くても2006年夏から?)に期待してください。
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